日本語

日本映画研究者アーロン・ジェローのホームページです。著作の紹介、日本映画に関するブログなどサイトの主な内容は英語によるものですが、ここでは日本語で簡単な紹介、特に日本語で書いた著作を紹介します。

プロフィール

1985年にコロンビア大学人文学部を卒業後、1987年、同大大学院芸術学科で修士号(M.F.A)を取得。1992年、アイオワ大学大学院アジア言語・文学科で修士号(M.A.)を取得後、1996年に同大大学院コミュニケーション学科博士課程で博士号(Ph.D.)を取得した。横浜国立大学留学生センター助教授を経て、現在はイェール大学映画学プログラム及び東アジア言語・文学科(兼但)教授。東アジア映画研究博士課程を中心に担当。研究分野は日本映画史、日本のポピュラー・カルチャー、マンガ、テレビ等。山形国際ドキュメンタリー映画祭のコーディネーターの経験もあり、1995年から12年間 『The Daily Yomiuri』 の日本映画評を担当、『映画芸術』 でベストテンをも選考。日本映像学会会員、元常任理事。

著書/編著

『日本映画研究へのガイドブック』   (ゆまに書房, 2018年) Amazon.jp .
『日本映画研究へのガイドブック』はレファレンスブックでありながら、日本映画研究の現状に対する挑戦でもある。本書は、真摯に学ぼうとする学生 や研究者が日本映画の歴史、美学、理論への興味を存分に追求するために必要とする資料源を、フィルムアーカイブから基本参考文献、ウェブサイトまで紹介す るものであり、いずれの言語においても初の試みとなる。これにならい、本書では良書などを見つくろうのではなく、どの種の研究プロジェクトの人々にとって も役立ちうる包括的資料を紹介するように心を砕いた。 日本語版がこの領域への挑戦として、かつ、今また英語版からアップデートされたものとして、英語圏でなされたのと同じように日本の映画研究に語りかけ、そこに対話をもたらすよう、私たちは期待している。

Visions of Japanese Modernity: Articulations of Cinema, Nation, and Spectatorship, 1895-1925   (日本の近代のみかた 映画、ネーション、観客性の形成 1895年-1925年). University of California Press, 2010. Amazon . 
日本に映画が登場した後の30年間において、映画という「もの」のみならずその「概念」がいかに創られ形成されたかを探る。見世物時代の映画や純映画劇運動を通して、権田保之助や帰山教正といった知識人から活動弁士や検閲官まで、さまざまな言説者がどのように、そして何のために「映画」とその近代性を定義したのかを考える。我々の今の「映画」の考古学の本。

Research Guide to Japanese Film Studies  (日本映画研究ガイド). Center for Japanese Studies, University of Michigan, 2009. Abé Mark Nornesとの共著。 Webcat Amazon
世界各国の重要なアーカイヴや図書館、主な参考書やウェッブページ、日本の映画関係の古本屋、映画の配給会社など、日本映画に研究するにあたって重要な施設や情報の紹介が満載。紹介は英語だが、タイトルや連絡先は日本語併記。

A Page of Madness: Cinema and Modernity in 1920s Japan  (『狂った一頁』 1920年代日本における映画と近代). Center for Japanese Studies, University of Michigan, 2008. 英語。 Webcat Amazon
川端康成原作、衣笠貞之助監督の世界映画史的な名作『狂った一頁』(1926年)を詳細に考察する一冊。製作背景、作品分析、失われたシーンや当時の評論の紹介など。

Kitano Takeshi  (北野武). British Film Institute, 2007. 英語。 Amazon
「世界のキタノ」をグローバルな視点で分析。『Takeshis'』までの作品分析や「作家」としての北野武の歴史性を再検討 。

In Praise of Film Studies: Essays in Honor of Makino Mamoru /映画学ノ ススメ : 牧野守に捧げる Kinema Club, 2001.   Webcat  / Google Books
映画史研究者牧野守氏に捧げる記念論文集。牧野氏の主要論文の英訳や著作リストの他、著名な研究者による英語や日本語で書かれているオリジナル映画研究論文も掲載。拙論「観客の中の弁士 無声映画における主体性と家族国家」も収録。

主な日本語論文(英語論文はコチラコチラ

「川端と映画──”文学的”と”映画的”の近代」『川端康成スタディーズ──21世紀に読み継ぐために』坂井セシル他編(笠間書院、2016年) 

  • 川端と映画の関係を追究するために、まず川端はどのように映画を定義してそこから影響を受けたか、という問題提起を行う。

他者という眼差しと戦略──リチーとアンダーソンのThe Japanese Filmの複雑な可能性」『日本映画の海外進出──文化戦略の歴史』岩本憲児編(森話社、2015年) 

  • 『The Japanese Film』という日本映画史の名著を通して、主にドナルド・リチーの日本研究へのアプローチを分析する。

「映画の批評的な受容——日本映画評論小史」『観客へのアプローチ』藤木秀朗編(森話社、2011年) 

  • 日本における映画批評の歴史を、それと映画理論との複雑な関係を通して、分析する。

Japanese Reference Materials for Studying Japanese Cinema at Yale University」 Yale East Asian Library (2011年) 

  • 日本映画研究に必要な参考書等のオンライン紹介。解説は英語だが、書誌データに日本語も併記。

「弁士について 受容規制と映画的主体性」『映画史を読み直す』四方田犬彦他編(岩波書店、2010年) 

  • 初期映画史における弁士の統制から考える映画的意味生成の規制と近代主体の形成。

「日本/映画/理論」『日本映画は生きている』四方田犬彦他編(岩波書店、2010年) 

  • 日本映画の理論化が抱えてきた歴史的な矛盾を考えている。

ドキュメンタリ−と政治・理論」 『シリーズ 日本のドキュメンタリー2 政治・社会編』 佐藤忠男編(岩波書店、2010年)

  • プロキノを例に、ドキュメンタリー、政治と理論の関係を考察。

フィクションとドキュメンタリーの境界を超えること」 『ドキュメンタリー映画は語る 作家インタビューの軌跡』 山形国際ドキュメンタリー映画際東京事務局編(未来社、2006年) 

  • 現代の日本映画におけるフィクションとドキュメンタリー性の交差についての一考察。私が聞き手として参加したインタビューもこの一冊に多く収録。

「『太陽』と日本のあいだ 映画におけるインターナショナルな倫理」 『映画「太陽」 オフィシャルブック』 (太田出版、2006年) (ネットで読む)

  • ソクーロフの『太陽』と映画における天皇の表象を考える。

「解説 権田保之助が創造した映画文明言説」 『活動写真の原理及応用』 日本映画論言説体系 第27巻(ゆまに書房、2006年)

  • 初期映画時代の映画文化論の復刻版の解説。

「日本映画のために戦うこと」 『映画芸術』 第412号(2005年夏号)

  • 『ローレライ』と『亡国のイージス』を中心とする戦争映画論。

枠をはみ出している他者」 『沖縄に立ちすくむ 大学を超えて進化する知』(せきか書房、2004年) 

  • 沖縄に対する表象の問題。青山真治監督の『あじまぁのウタ』は一つの例

「解説 産業という言説」 『活動写真経済論/国産奨励と映画事業』日本映画論言説体系 第16巻(ゆまに書房、2004年)(ネットで読む

  • 1920年代において産業を語ることはどういう映画論になるか。石巻良夫と根岸耕一の本の復刻版の解説。

「アンダーワールドから歴史を記録した男」 『映画監督深作欣二の軌跡』 (キネマ旬報社、2003年)

  • 深作欣二論。

「日常語としてのハリウッドと世界観客の支配」 『現代思想 臨時増刊』 第31巻第1号(2003年6月)

  • 最近のハリウッドの戦略と今日の観客の映画受容の問題。

「解説 映画法という映画論」 『映画法解説/第74回帝国議会映画法案議事概要』 日本映画論言説体系 第8巻 (ゆまに書房、2003年) (ネットで読む

  • 戦前の映画取締がどういう映画像を描いていたかを考える。

「戦ふ観客 大東亜共栄圏の日本映画と受容の問題」 『現代思想』 第30巻第9号(2002年7月

  • 戦時中におけるアジアの観客の映画受容に対する言説と対策を考察する。

「大島という作家、観客という猥褻 『愛のコリーダ』裁判とポルノの政治」 『ユリイカ』 第32巻第1号(2000年1月) (ネットで読む

  • 映画検閲と観客の問題。

『宮本武蔵』と戦時中の観客」 『映画監督 溝口健二』 四方田犬彦編(新曜社、1999年) (ネットで読む

  • 溝口の『宮本武蔵』を例にして戦時中の観客統制と受容論の一考察。

「図像としての『戦争論』」 『世界』 656号(1998年12月1日)  

  • 小林よしのりのマンガの画像分析。

「映画の他の可能性 『狂った一頁』の受容と映像のコード化」 『言語文化』 第15号(1998年) (ネットで読む)

  • 衣笠貞之助の映画の両面性が浮かび上がる受容分析。

「<日本人>北野武 『HANA-BI』 とナショナル・シネマの形成」 『ユリイカ 臨時増刊』 第30巻第3号(1998年2月20日)

  • 北野監督の映画におけるナショナル・アイデンティティの表象がいかに変わってきたかの分析。

「日本映画1989-1997ベスト30 <日本>と<映画>を再定義するための一仮説」 『ユリイカ』 第29巻第13号(1997年10月)(ネットで読む)

  • 拙者の独自のベスト30。

「『ジゴマ』と映画の“発見” 日本映画言説史序説」 『映像学』 第57号(1997年)

  • 『ジゴマ』の上映禁止をめぐる言説から浮かび上がる「映画」の新定義。

「弁士の新しい顔ーー大正期の日本映画を定義する」、『映画学』第9号(1995年6月)

  • 弁士をめぐる言説がいかに映画を形成したかを考察。

「「清順の映画、もう一度見て死にたい」ーー鈴木清順問題とポスト・モダン観客性」 『イメージフォーラム』 第169号(1994年2月)(ネットで読む)

  • 清順の解雇騒動がどういう新しい観客像を描いたのかを考える。

監督インタビュー

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